トランプ大統領の誕生は為替にどう影響する?今後の短期・長期の見通しについて

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こんにちは! FX SQUARE編集部の葉月です。

2016年11月9日はアメリカ大統領選挙の開票日でしたね。

ライブ映像をドキドキしながら見られた方も多いかもしれません。

投票数日前にクリントン氏にとってバッドニュースが出たものの、直前で巻き返したこともあり、投票日当日まではクリントン氏が大統領になることが織り込まれたような為替の動きを見せました。

ですが結果は、多くの人たちが予想していなかったトランプ氏の勝利。

ここで改めて、トランプ大統領が誕生すると今後どうなる可能性があるのかまとめてみました!

当選前後の為替相場

9日の東京時間はしばらく昨日の流れを継続する形で緩やかに円安方向に進んでいました。

ところが開票が進む中、トランプ氏優勢のニュースが伝えられると、それまでの円安方向から一転、急速に円高が進みました。

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ドル円相場は一時101円前半まで進み、円高を背景に日経平均も大幅下落、マザーズ先物ではサーキットブレーカー発動(急激な値動きにより取引を一時停止すること)・・・と、一時的に為替、株価共にイギリスの国民投票と同じ流れとなりました。

ですがその後、ドル円相場は欧州時間で大きく値を戻し、米国時間で高値を更新するまでになりました。

市場関係者からは「トランプ氏に対する不安が期待感へと変化したことによる円安だ」という声も聞かれました。

これはあくまで個人的な感覚ですが、両候補者は元々どちらも円安になるような政策をとっていなかったため、クリントン氏=円安、トランプ氏=円高の構図は、あくまでも選挙期間中の話で、先が不確定な中で為替が動く材料として使われていたのではないかと感じていました。

そのため昨日のように、大統領が決定した後、強烈なショートカバーが入り一気に円安に傾いたのではないかと思います。

翌日の10日も株価・為替共に買い戻しが継続し、一部では1980年に大統領となったロナウド・レーガン氏とよく似た状況であるが故の株高ではないか(レーガン氏の就任中はアメリカの株価は総じて堅調でした。)と言われています。

大統領選の翌日ということもあり、付近の経済官僚などもまだ決まっていない中なので、まだまだ不確定要素が多く、今が円安方向に傾いているからといってこれからも継続するかどうかは誰にも分かりません。

そのためしばらくは為替や株価共に、神経質な状況が継続するものと思われます。

トランプ大統領で何が変わるの?

トランプ氏が公約として掲げていた重要な経済政策と、それらが相場に及ぼす影響をみていきましょう。

連邦法人税と所得税の引き下げ

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法人税を現在の35%から15%へ引き下げるとしています。米国企業は安い法人税を求めて他国へ本社を移す例があるので、それを防ぐためです。

こういった企業の節税対策はタックス・インバージョンと呼ばれ、行っている会社は1983年以降で約80社近くにのぼっており、米国でも問題になり始めていました。

トランプ氏がもし本当に法人税の引き下げを実行するのであれば、企業利益は上がり、企業の海外流出にも歯止めがかかります。

また、これに加え所得税の減税も掲げています。

これら一連の減税策が実行されると減税額の規模は10年で6兆ドルにも及ぶと言われています。実現の可否は別として、減税に力を入れていることは明らかです。

TPPからの離脱

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TPPに対してトランプ氏は以前から反対を表明していました。加盟国の中でも大きな影響力を持つアメリカがTPPから離脱することは、経済的な影響力の大幅な減少を意味します。

もしTPPが実現すれば、関税の引き下げによる貿易の活発化、グローバル化の進展によるGDPの成長、域内起業の増加などが見込まれていました。

しかしトランプ氏は、TPPにより、アメリカをはじめとする先進国に外国人労働者の流入が増加し、TPP加盟国からの輸出増を招くことで、アメリカの雇用の悪化や製造業の衰退につながると主張しました。

トランプ氏はアメリカの雇用を回復させることを公約にしているので、TPPからの離脱はその最初のステップと言えるのかもしれません。


もしこれらが実現されると、トランプ氏が掲げていた「強いアメリカを取り戻す」ということは実現されるのではないかと思います。

ただ、為替に関していえば、トランプ氏は日本の円安「誘導」政策を非難しており、また現在のドルの水準を高いと言っていることから、継続してドル円相場が上昇するかは疑問が残ります。

また、現在は期待感から買われているドル円相場が、実態が明らかになるにつれて失望売りする可能性も視野に入れておかなければいけません。

大統領選の結果はアメリカの利上げに影響する?

大統領選が市場に大きな影響を与えるとはいえ、やはり為替に一番大きな影響を与えるのは金融政策です。

市場関係者が現状気になっているのは、何と言っても2016年12月こそ実施されるだろうと言われているFRBの利上げ(政策金利引き上げ)。

FRB当局は以前から「金融政策を議論する上で選挙などの政治動向に配慮することはない」と言っています。

当局の判断は「データ次第」で、直前の指標の結果などに基づいて、経済にとって一番良い結果となるように判断するという意向を示しています。

これはつまり、どちらが大統領に選ばれても、それが利上げを見送ったり早めたりする要因にはならないということです。

ただ、当然のことですが、大統領が変わると経済に大きな影響を及ぼします。

野村ホールディングスの米金利調査責任者、ジョージ・ゴンキャルベス氏は「トランプ氏が勝利すれば、それに伴う不確実さで12月の早い時期に市場が不安定になる可能性があり、またトランプ政権がどのようになるかについて市場が不確かであれば、米連邦準備制度は金利を据え置く公算が大きい」との見方を示していた。

出典:SankeiBiz

上記引用のように、多くの人が予想していなかったトランプ氏が当選したことにより、市場関係者の中では「利上げのタイミングは見直されるのではないか」という見方が強いようです。

しかし過去を振り返ってみると、FRBは大統領選の年に政策の調整を行っているケースが多く、大統領選があった1984年、1988年、2000年、2004年に利上げを、1992年、2008年には利下げを行なっています。また、2012年には量的緩和第3弾(QE3)に踏み切りました。

過去30年の大統領選のあった年で、FRBが何も政策をとらなったのは1996年だけという統計結果も出ています。

過去のケースをもとに、「だから今回必ず利上げがある」とはもちろん言えませんが、大統領選が金融政策に何らかの影響を与えることは明らかです。

FRBの利上げが為替にどのような影響を与えるかは以下の記事で解説しています。

まとめ

ようやく2016年のイベントの目玉とも言うべき大統領選が終了しました。

選挙中のトランプ氏の発言を不安に思う人はたくさんいます。ただ、アメリカでは立法・司法・行政の三権が分立しているため、大統領の意向が必ず実現するわけではありません。議会や裁判所のけん制もあり、アメリカは大統領の権力を抑制する組織的な制度によって秩序を保っています。

そうはいっても現在市場は敏感になっており、トランプ大統領の一言一句に過敏に反応します。選挙が終わったとはいえ、油断は禁物です。

トランプ氏が大統領になったように、世界経済はいつも予想外の連続。長期的に見れば円高方向へ転換する可能性はありますが、その予想が的中する保証はありません。相場の本質を突いたトレードで、波乱の為替相場を乗り切りましょう!