為替レートの数字を決めるのは一体誰? その正体を完全解明します

who-is-decide-rate

外国為替についてある程度理解できると、「じゃあ1ドル105.642円とか、どこで誰がどういう仕組みで決めてるの?」っていう疑問が生まれると思います。

この「為替レートを誰が決めてるの?」という疑問について調べたことがある人ならわかるかもしれませんが、「為替レート 誰が決める」とかでGoogleで検索すると、決まって「誰かが決めているわけではありません」「需要と供給によって決まります」という解答を目にすることになると思います。

でも数字が意志を持っていて勝手に画面に現れるわけがないので、それってつまり「何らかの仕組みで上下する数字を決めている誰かがいる」ってことじゃないですか。

調べれば調べるほど難しい言葉がたくさん出てきて多くの人がしっかりと理解しないまま終わります。もちろんそんなことわからなくても、FXで利益を出すことはできますが、知りたいことを知れないのはすごい気持ち悪いですよね。

今回はこの数字の正体を完全に解明します。読み終わったころには、為替レートの仕組みが理解できるでしょう。

普段目にする為替レートの正体

普段、ニュースやFXのチャート上でみる為替レートの数値。実はこの為替レートは、配信している機関によってバラバラなんです。乱暴な言い方をすると、決めたい人が、好き勝手に決めています。

たとえば、銀行がお客さん向けに外貨両替のレートを提示する場合と、FX会社がチャート上で表示する場合では数値が微妙に違います。

また、FXのチャートというくくりでも、FX会社(GMOとかDMMとかYJFXとか)によってバラバラです。それは、手数料やスプレッドを加味した数字を表示しているからです。ここまでは、FXについて知っている人なら理解できるはずです。

ただ、数字自体が微妙に違っても同じような値動きをしていますよね? みんな1ドル105円前後の数字を表示しているのに、とあるFX会社だけ130円とかありえませんよね。

つまり、みんなが参考にしている「おおもとの数字」が存在していて、その数字に手数料やスプレッドを上乗せしたり、差し引いたりした数値を表示しているということです。

この記事を読んでくれている方が知りたいのは、この「おおもとの数字」の正体ですよね?

では、次はその数字の正体を追っていきましょう。

全ては銀行同士の取引から始まる

銀行銀行 image by flickr

各報道機関やFX会社が発信する為替レートの「おおもとの数字」もまた、とある「さらにおおもとの数字」を元に算出されています。

知れば知るほど深まる闇……。黒幕の黒幕。これ以上踏み込んだら何者かに抹殺されるんじゃ? とか心配になってしまうかもしれませんが大丈夫。ゴールは目の前です。

その「さらにおおもとの数字」の正体はズバリ「銀行間で異なる通貨を交換したときの比率」です。

ズバリといいながらふわっとした言い方になってしまいましたが、それ以上でも以下ありません。

ドルと円のレートの場合で言うなら、「どこかの国の銀行Aが持っている円と、どこかの国の銀行Bが持っているドルを交換した時、1ドル当たり何円と交換したか?」ということです。このときの比率が、ドル円レートを決定する上での根幹部分になっています。

実は、我々一般人が全く関知できないところで、銀行同士で取引が行われています。それも最小単位が数百万円刻みの大金のやり取りです。こういった銀行同士の取引を、インターバンク取引(銀行間取引)といいます。

インターバンク取引とかいうと、かなり壮大な感じがしますが、実際はほとんど物々交換に近いです。

今ではトムソン・ロイター社やEBS社などが提供する専用接続端末を使った仲介システムの取引に切り替わりましたが、少し前まで電話で直接話して取引するのが主流でした。

インターバンク取引をするときは結構アナログな感じでやってるんだな、っていうイメージを持っておいてください。

インターバンク取引の流れ

インターバンク取引は専用の端末を使って行われる。トムソン・ロイター社のディーリングシステムが導入された端末の例 インターバンク取引は専用の端末を使って行われる。 image by 日本HP Workstations

たとえば、銀行Aが、「ドルを買いたい顧客から注文が入ったからドルがほしい! 円と交換したい!」と考えたとしましょう。

このとき、銀行Aはドルを手に入れるために、ドルを持っていて売りたがっている他の銀行から買うことになります。

この銀行間の取引には為替レートも何もありません。決められた値段はないんです。

銀行Aは自分の持っている財産(円)でドルを買います。当然できるだけ安くドルを買いたいわけですが、どうすれば最安で買うことができるでしょう?

……。

正解は、「ドルを売りたがっている銀行たちが提示している値段のうち、一番安い値段で買う」となります。

単純に考えて、全く同じものが売られてたら、一番安く売ってくれる人から買いますよね? それだけの話です。

売る側の値段設定も簡単です。高く売れた方がいいに決まっています。でも自分より安く売ってる銀行がいたら、誰も買ってくれません。
つまり、売る側は一番安い値段設定をします。現在の最安値が安すぎるなと感じれば、売るのを辞めます。

安すぎれば損するし、高すぎれば全く売れない。普通の商売と一緒ですが、通貨の場合は競争相手と全く同じものを売っているので、一番安いものだけが売れます。

インターバンク取引の場合、専用の端末を使うことで、仲介システムが「ドルを売りたい銀行がそれぞれ提示している値段のうち、最も安い値段」を教えてくれます。

簡単なストーリー想定して実際の取引の流れを見てましょう。例え話にするうえで、少し実際の取引と違うところもありますが大体こんな感じと思っていただいて大丈夫です。

ドルを買いたい銀行Aが仲介システムを確認するとどうやら、銀行Bが「1ドルを105.642円で売る」といっていることが分かりました。

と思ったら、銀行Cが「105.641円でいいから売るよ」と名乗り出てきました。

銀行Bも負けじと「105.640円で売る!」と提示額を変えます。

銀行Cは「さすがに105.640円は安すぎでしょ。やめとこ」と提示額を据え置きました。

最終的に銀行Aは105.640円で納得。晴れてAとBの間で取引成立しました。

例え話はここまで。

このように、買いたい人と売りたい人がいて、お互いが納得して初めて取引が成立します。

この「1ドル=105.640円」という数字こそが為替レートの「さらにおおもとの数字」となります。この数字はインターバンク・レート(銀行間為替相場)といいます。

こういったインターバンク取引というのは、1秒間に何件も行われています。そして、このインターバンク取引全体をインターバンク市場といいます。市場と聞くとどこかに人が集まってそうですが、そういうわけではありませんよ。あくまでも電子的な取引の集合を指す言葉です。

インターバンク市場では世界中の様々な通貨が、世界中でいろんな買い手や売り手(銀行)によって売り買いされます。この買い手と売り手のバランス(需要と供給)は、世界情勢などのいろいろな要因によって変わります。

「1ドルを105.640円で買えるなら俺も欲しいよ!」 という銀行がいくつもあったら、「みんなより高値の105.641円でもいいから欲しい!」という銀行も出てきて最安値は上がりますし、また逆にドルを売りたい人が続出すれば価値はさがります。需要と供給によって1ドルの価値は目まぐるしく変化するんです。

ここまでずっとドルと円とで説明してきましたが、他の通貨間でも全く同じ仕組みです。

為替レートを決める存在の正体

正体

インターバンク取引での仲介システムを提供するトムソン・ロイター社やEBS社は、これらインターバンク市場全体の取引額、取引量、傾向を知ることができます。

彼らはこの膨大な取引データを独自の方法で算出して、「僕が考える現在の為替レート(気配値)」として世界に配信するのです。この気配値がまさしく、序盤で話した「おおもとの数字」だったのです。つまり、為替レートを決めている存在の正体は、インターバンク取引の仲介システムを提供する企業だったのです。

算出方法については、一般人が知り得る範囲ではないですし、知っていてもデータがないので気配値を算出することはできません。

この「おおもとの数字」も、トムソン・ロイターが配信しているものか、EBSが配信しているものか、あるいはほかの機関が配信しているものなのかによって算出方法や元となるデータが違うので、微妙に変わってきます。

まとめ

ここまでの内容から次のようにまとめられます。

  1. 銀行同士で行われる、異なる通貨の売買(インターバンク取引)時の値段(インターバンク・レート)は、個々の銀行が需要と供給から決定する。
  2. 秒刻みで行われるインターバンク取引のデータを元に、トムソン・ロイター社、EBS社等の仲介者独自の計算方法で算出した気配値を配信する。
  3. 気配値を元に、報道機関や金融機関(銀行・証券会社・FX会社)が為替レートを独自の手数料などを踏まえて配信する。

為替レートとひとくくりに言っても、誰が配信しているものかによって、数字がバラバラなんですね。

しかし、それらすべての発端になっているのは、個々の銀行が直接、通貨を売買するときに両者で納得して決定した「インターバンク・レート」だったのです。

あくまでも、為替レートを決めるのは誰なのか? ということに絞って解説したので、細かいところは省かれていますが、おおよそ理解していただけたんではないでしょうか。

以上、「為替レートの数字を決めるのは一体誰? その正体を完全解明します」でした。最後までお読みいただきありがとうございました。